2023年6月7日 Mayu旅コレクション
エフエム清水モーニングパルで普及協会の黒田が出演し、日本遺産検定を紹介します。
東海道を中心とした街道歩きの楽しみ方26
訪日旅行客注目!2つの「日本遺産」から旧東海道のストーリーを楽しむ
① 旅人たちの足跡残る悠久の石畳道
—箱根八里で辿る遥かな江戸の旅路─
② 日本初「旅ブーム」を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅
~滑稽本と浮世絵が描く東海道旅のガイドブック(道中記)~
1. 箱根八里で辿る遥かな江戸の旅路 〔認定5周年〕
『天下の険』と歌に唄われた箱根山を東西に越える一筋の道、東海道箱根八里。
江戸時代の大幹線であった箱根八里には、繁華な往来を支えるために当時の日本で随一の壮大な石畳が敷かれました。箱根峠を中心とした街道をひととき辿れば、宿場町や茶屋、関所や並木、一里塚と、道沿いに次々と往時のままの情景が立ち現われてきて、遥か時代を超え、訪れる者を江戸の旅へと誘います。
芦ノ湖の正面には神々しいばかりの富士山を望み、右手には箱根の山々を祀る箱根神社へと続く門前町の家並みが続きます。芦ノ湖を右に見ながら湖畔に沿って進む街道の両脇には、大人3人が手を繋いでも抱えきれないほどの杉の大木約400本が天を衝くように連なって、旅人を冬の風雪から守り、夏には木陰を提供します。冷涼で湿潤な気候を好む杉の並木があるのは東海道ではここだけです。
「箱根八里」とは、東海道で小田原宿から箱根宿までの四里(約16キロ)と箱根宿から三島宿までの四里を合わせたものです。江戸時代に整備された五街道の中でも屈指の通行量を誇る東海道は、参勤交代の西国大名や江戸参府のオランダ商館長、朝鮮通信使や長崎奉行など、著名な歴史上の人物が数多く往来したことから、道中にはさまざまな旅人たちのエピソードが残ります。また風光明媚な場所や名所旧跡が多く、浮世絵や和歌・俳句などの題材にもしばしば取り上げられました。
「箱根八里」は江戸防衛の要であり、三島側の西坂は外敵を発見しやすい尾根道、小田原側の東坂は迎撃しやすい谷筋に経路がとられています。また、芦ノ湖畔には古くから箱根山の山岳信仰の霊場・箱根神社(九頭竜神社)があり、絵d時代には庶民信仰の聖地でした。
関連する浮世絵『東海道五拾参次之内 10 箱根 湖水図』
江戸幕府は元和4年(1618)、小田原宿と三島宿からそれぞれ一定数の住民を芦ノ湖畔に移住させて新たな箱根宿を設置しました。箱根七湯と呼ばれる湯治場としても有名です。
2. 日本初「旅ブーム」を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅〔認定3周年〕
江戸時代の後期に葛飾北斎は「冨嶽三十六景」を描き、東海道の道々から富士山が美しく見える景色、名所絵を残し、それがきっかけとなり、歌川広重が「東海道五十三次」を描きました。それまでには無かった大判サイズで、「まのあたりにそこに行たらむここち」(保永堂版の序文)と思わせるものであり、まさに「ガイドブックの原典」で、日本初の「旅の大ブーム」の火付け役は、十返舎一九の滑稽本「東海道中膝栗毛」であり、歌川広重の描いた「東海道五十三次」の浮世絵だったのです。
遠く海を渡った「東海道五十三次」を目にしたモネやゴッホ等19世紀の華の都パリで活躍する印象派やアール・ヌーヴォーの芸術家たちも見知らぬ日本に思いを馳せたのです。
そして、2023年6月、この東海道に関する日本遺産認定3周年を機に外国人観光客の旧東海道に対する熱い思いが再燃しています。
享和2年(1802年)から文化11年(1814年)に初刷りされた十返舎一九の滑稽本「東海道中膝栗毛」は、文章もさることながら挿絵が面白く、作者が自分の足と目で確かめたリアル感が読者の旅情を誘います。
絵と文字、それはまさに江戸時代のマンガアニメであるが、今やマンガアニメは日本を代表するポップカルチャーとなっています。漫画のような「東海道中膝栗毛」を「ガイドブック」として旅に出ようと思い立った江戸庶民達が「旅の大ブーム」を作ったのです。
かつての面影を残す由比宿の本陣跡は由比本陣公園となり、その中に東海道由比宿交流館と浮世絵師・歌川広重の名を冠した日本で最初の美術館があって、数多くの広重の浮世絵を楽しむことができます。
そこには広重が景勝三保松原を描いた「冨士三十六景」も所蔵され、現在の景色と見比べて楽しむことができますが、この番組で紹介した浮世絵も鑑賞していただきたいと思います。
関連する浮世絵『東海道五拾参次之内 16 由井 薩埵嶺』
由比の近辺は、海岸線近くまで山がせまり、狭い平野部を縫うように街道が走っていますが、薩埵峠を越える道は「上道」「中道」「下道」と3つあり、山腹を切り開いた「中道」は遊歩道として今でも使われています。
薩埵峠は鎌倉時代に、由比の倉沢の海から引き揚げられた地蔵菩薩をこの山に祀ったという故事から命名され、富士を崖越しに望む絶景で知られています。
2023年7月7,8,9日 一般社団法人 日本遺産普及協会 第1回日本遺産検定
お申込み 5月1日~6月30日
無料講座 6月15日(木)20:00~ 詳しくはWEBで
主催: 一般社団法人 日本遺産普及協会 https://jhda.or.jp