2024年12月6日、日本遺産ポータルサイト主催による日本遺産講演会
「縄文文化は世界を魅了する ~持続可能な観光資源としての活用~」 が開催され、一般社団法人 日本遺産普及協会 理事の黒田尚嗣が登壇しました。

本講演会は、日本遺産をはじめとする日本の文化資源を、持続可能な観光の視点からどのように活用し、国内外へ発信していくかをテーマに行われ、当日は基調講演と鼎談が実施されました。
黒田は第1部の基調講演において、自身のルーツである伊賀流忍者の精神性にも触れながら、「志・能・備」に象徴される日本人の精神文化を紹介。そのうえで、縄文文化こそが自然と共生し、争いを避けながら長期にわたり持続してきた、世界に誇る文化であると語りました。

また、縄文時代に育まれた自然観や精神性は、現代における「おもてなし」の原点であり、地域の物語を丁寧に伝えることで、観光客と地域が価値を共創する持続可能な観光につながると強調しました。
観光の担い手については、単なる案内役ではなく、土地の歴史や文化背景を物語として伝え、共感を生み出す「観光ナビゲーター」の重要性を提唱しました。
続く鼎談には、
黒田 尚嗣氏、
坂井 秀弥氏(日本遺産地域プロデューサー、新潟市歴史博物館館長、奈良大学名誉教授)、
井口 智裕氏(日本遺産地域プロデューサー、一般社団法人雪国観光圏 代表理事、合同会社雪国食文化研究所 代表社員、株式会社いせん 代表取締役)
が登壇し、なぐも 友美氏(にいがた県内専門バスガイド)がモデレーターを務めました。
鼎談では、日本遺産や縄文文化を観光資源として活かすために、学術的視点、地域プロデュースの現場、観光実務の立場から多角的な意見交換が行われました。
地域の文化を一方的に「見せる」のではなく、来訪者と地域住民が対話を通じて価値を共創していくこと、またストーリー性を持った発信が国内外の共感を生む重要な要素であることが共有されました。

さらに、日本遺産が掲げる「点ではなく面として文化を捉える」という考え方は、縄文文化の広がりや多様性とも親和性が高く、今後の観光振興や人材育成において大きな可能性を秘めていることが確認されました。
本講演会を通じて、縄文文化をはじめとする日本遺産のストーリーを世界に発信していくことが、平和で持続可能な社会の実現に寄与するとの認識が共有され、参加者にとって多くの示唆を得る機会となりました。
日本遺産普及協会では、今後も日本遺産の理念に基づき、文化の価値を次世代へとつなぎ、国内外へ発信する取り組みを積極的に推進してまいります。